わざわ座コラム|古道具の定義
2017.02.05
学生の頃から古道具を手にしていた。
当時は使い込まれた素材感と造形が目にとまり家に持ち帰った。
その後、生活道具のデザインをはじめ、
改めて手元にある古道具を見直すと、
素材や形の理由が読み取れた。
18 世紀のヨーロッパの燭台は、鉄板を螺旋状に加工して
木の台に差しただけの造形。
螺旋はロウソクを支えると共に
燃えて短くなるロウソクを持ち上げる機構になっている。
螺旋を持ち上げる部品の穴には火消しの道具が掛かっていたそうだ。
螺旋の先端の造形は持つ形で、全ての形に理由がある。
使い込んだこの道具を見ていると、古道具の定義が見えてくる。
1. 持続可能であること。(物理的にタフである)
2. 用途が十分である事。(十二分ではなくていい)
3. 使い続けたいと思えること。(普遍/美学/愛着….)
そんな言葉を拾い上げると
自分が関わった道具も「古道具」として使い続けてもらいたいと、
心から思う次第です。
家具デザイナー 小泉誠
——-
Profile
小泉 誠 | 家具デザイナー
「大工の手」のデザインを手がける家具デザイナーの小泉誠は、
木工技術を習得した後、1990年Koizumi Studio設立。2003年には
デザインを伝える場として「こいずみ道具店」を開設。
建築から箸置きまで生活に関わる全てのデザインに関わり、
現在は日本全国のものづくりの現場を駆け回り地域との協働を
続けている。2005年より武蔵野美術大学空間演出デザイン学科教授
2012年毎日デザイン賞受賞 2015年一般社団法人 わざわ座 代表理事
2016年日本クラフト展大賞
Koizumi Studio-こいずみ道具店 http://www.koizumi-studio.jp/?studio
*記事は座衆向け通信『わざわ座通信 vol.1』(2015年7月31日配信)より抜粋したものです