特別内覧会+トークショー
2014.04.19
「わざわ座」「大工の手」のお披露目の二日目の朝。
いよいよ一般のお客さまをお迎えしての展覧会のはじまりです。
お披露目の二日間は晴天に恵まれ、ライトボックススタジオの窓から心地良い光がさしこみます。
発表会の会場構成も小泉誠さんによるデザインです。
白い段ボールを積み上げて展示空間の間仕切りをつくり、「大工の手」の家具や「小泉誠の手」と題されたKoizumiStudioのデザインによる端正な生活道具 たちが展示されました。
ライトボックススタジオのリノベーションされた建築は壁や天井は白いペンキで仕上げられ、床に足場板を用いたラフでヴィンテージ感のある空間です。 家づくりで用いられる素材でつくられた「大工の手」がもつ素朴でやさしい質感と、ライトボックスタジオのラフな空間が調和して、辺りには落ち着きの中にほどよい緊張感が漂っています。
午前中は比較的ゆるやかな人の出でしたが、「わざわ座」と同じく職人による家具づくりに取り組む大工さんや設計士さん、活動に共感してくださったプロの方が会場にお越しくださり、小泉誠さんや事務局のスタッフと今回のプロジェクトや家具について語り合っていました。
ものづくりに取り組むもの同士、デザインや工夫、職人の手仕事についての考えなど、様々なお話に花がさきました。
トークショーが始まる午後になると、インテリアや家具デザインに取り組む学生たちをはじめ、一般の方や工務店・設計事務所のスタッフの方々が次々と来場し、会場はにわかに熱気で包まれました。
今回のトークショーの目玉は、何といっても今回の「大工の手」をつくった大工である秋山和雄さんの登壇です。
秋山さんは今回の「大工の手」家具づくりに取り組んだ大工の中でも中心的な人物であり、大工歴45年の棟梁。
建築家の故・永田昌民(ながたまさひと)さんもその卓越した仕事ぶりに惚れ込み、自邸の建築を秋山さんに任せたほど。建築家の伊礼智さんとも多くの家づくりを協働し、後進の若い大工職人の育成にも尽力されています。
2013年には、これまでの多くの功績を称えられ、優秀施工者国土交通大臣顕彰を受賞されています。
「大工の手」プロジェクトでは、家具デザイナーの小泉誠さんとともに図面を介して、また時には顔と顔を合わせて対話を重ねながら家具づくりにあたられました。
発表会にあわせて編集・発行された「わざわ座 0号」の中で小泉さんと対談した住宅ジャーナリストの三浦祐成さんも加わって、小泉さんと秋山さんと三浦さんの三名でトークショーが始まりました。
家具デザイナーとして箸置きから家具、住空間までをつくってきた立場から、あらためて住宅産業と関わりながら新しい時代のものづくりにチャレンジすることを決意した小泉誠さん。
大工として、棟梁として技を磨き、常に熟練の仕事を残してきた立場から、「大工の手」に関わり職人の心意気を見せてくださった秋山和雄さん。
地域工務店による家づくりの可能性に着目し、全国を飛び回りながら工務店業界や日本の家づくりが目指すべき姿を示し続けている三浦祐成さん。
立場の異なる三者が集い、今回のデザイナーや大工、工務店による分業のプロジェクトについて語り合う中で、住宅業界や家づくりに携わる職人たちがおかれている状況が浮かび上がっていきます。
「住宅産業こそ、最後の『顔の見えるものづくり』といえるかもしれない。だからこそ、『つくらされるものづくり』ではなく、『わざわざつくりたくなる、伝えたくなるものづくり』を」と小泉さん。
『大それた物言いかもしれないが、「わざわ座」「大工の手」は「現代の民藝運動」と言える。職人の手仕事への取り組みを通して、機械ではなく人の手でつくるからこその、喜びが生まれる仕事、人間的で美しい仕事を目指していこう』とトークショーをしめくくってくださった三浦さん。
その言葉の中に、つながりときっかけを生む活動としてはじまった「わざわ座」という取り組みの目指すべき未来、理念が込められているように感じました。
二日目も、初日に引き続き100名を超える方々に会場へご来場をいただき、大盛況にて「わざわ座」と「大工の手」のお披露目の二日間 を終えることができました。
当日会場にお越しくださった皆様、ご都合が合わずに会場へ来れなかったもののご興味・ご賛同の声を上げてくださっている皆様、ありがとうございました。ぜひ、今後の一座の活動にご注目をいただき、ともにご参加いただければ幸甚に存じます。
そして活動の立ち上げからお披露目に至るまで、お力を尽くしてくださった家具デザイナーの小泉誠さんや、棟梁の秋山和雄さんをはじめ大工職人の皆さん、住宅ジャーナリストの三浦祐成さん、関係者の皆さん、本当にありがとうございました。事務局一同、心より感謝申し上げます。
14:00 – 15:00 トークショー
≪トークショー≫
三浦 祐成(住宅ジャーナリスト・新建新聞社 代表取締役)