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「住む×働く」展|JHS2020
2021.02.21

 

コロナ禍で考える「住む×働く」の可能性

2020年のコロナ禍で開催があやぶまれていたジャパンホームショーが例年通り、11月に開催されることになりました。

今回のホームショーでは、新型コロナウイルスの影響で家で過ごす人が増えたことや工務店の事業が住宅建築だけでなく事業者のオフィスや交流拠点などの場づくりに広がりつつある中で、「住む×働く」というテーマでの展覧会を行ないました。

 

 

白いアーチ型の会場に展示された多様な家具と生活道具

会場構成と空間デザインは家具デザイナーの小泉誠さん。白い段ボールを積み重ねて展覧会場をつくる手法がさらに進化して、高さの異なるアーチ型の壁面が連なるように構成され、美しい空間が生まれました。壁面に沿って歩いていくと目の前の景色の変化に引き込まれていき、東京ビッグサイトの空間にいることを忘れてしまいそうになります。

小泉さんと建築家の伊礼智さんがデザインした「大工の手」家具の展示とともに、座衆・寄人による「デザインコンテスト|卓球ラケット」や、和歌山の山長商店さんとの協働プロジェクト「プレカット家具」、広島の若葉家具さんとの協働プロジェクト「家具の手」の展示など、盛り沢山な内容となりました。

 

わざわ座デザインコンテスト『卓球ラケット』

例年、ホームショーの展覧会とあわせて大工さんのデザインコンテストも開催しているのですが、今年のテーマは惜しくも延期となった東京オリンピックと結びつけて「卓球ラケット」に。家にいる時も気軽に楽しめるスポーツ「卓球」をテーマにしよう!と小泉さんが発案。展覧会とあわせてなんと卓球のためのテーブルもデザインしてくださいました。

写真手前が新作「卓球台テーブル」

展示を観に来場してくださった方がこのテーブルで実際に卓球を楽しむこともできます。

2020年のデザインコンテストでは、23種類の卓球ラケットが出展されました。デザインの際のルールは国際ルールに乗っ取り、木材を85%以上用いること、有機溶剤系の接着剤を用いないこと、さらにわざわ座独自のルールとして「手間をかけて腕をふるうこと」に。事務局メンバーも知らなかったのですが、卓球ラケットの大きさには実は決まりがないそうで、大きなラケットでも良いのだそう。

そんなルールのもとで出展されたラケット作品には地域性や大工さんの個性が宿り、さらに楽しい発想や工夫が凝らされて、素晴らしいものばかりでした!

クリックで拡大表示します。(写真/阿部良寛)

 

 

プレカット技術を活かした家具の新しいかたち

「住宅のプレカット技術をもっと活用できないか」という発想から小泉さんと和歌山の木材メーカー山長商店さんとわざわ座で取り組んできた「プレカット家具」の取り組み。2018年頃からはじまったこの活動が、2020年、日本インテリアデザイナー協会主催のJID AWARDでインテリアプロダクト部門賞を受賞しました。
詳細はこちら

この展覧会では、これまで製作していたプロダクトと新作の展示を行ないました。

プレカット家具のテーブルとスツール。家具の構造の仕口・継ぎ手などの接合部に精度の高いプレカット技術が活かされ、より強度のある家具が生まれました。

こちらが新作の特大テーブル。天板に4枚の板を用い、脚部も三箇所に設けて高い強度を持っています。加工されたプレカット材を板と柱にばらされた状態で搬入し、会場で大工が組み立ています。
テーブルの中央にスクリーンを取り付けていることで、向かい合って着座した際の視線をゆるやかに仕切るとともにコロナ禍での飛沫防止の効果も。

プレカット家具の活躍の場は住宅だけでなくオフィスや公共スペースなど、多様に広がっています。

 

 

家具メーカーと工務店のコラボレーションで完成する「家具の手」

2019年の青山の展覧会「大工の家具づくり×家具屋の家づくり」展で協働出展した広島県府中市の若葉家具さんが2020年から正式に一座の活動へ加わりました。
小泉誠さんが若葉家具さんのプロダクトとしてデザインしたのが「家具の手」。テーブルの天板を広葉樹で若葉家具がつくり、脚部を工務店と大工が現場で取り付けて完成するプロダクトです。
「大工の手」のテーブルにも多数のラインナップがありますが、スギやヒノキなどの針葉樹を素材として用いることが多く、木のぬくもりがあるものの凹みや傷がつきやすいというデメリットがあった中で、美しい表情・強度を持つ広葉樹の天板のテーブルを空間に計画できるようになりました。

写真中央が「家具の手」のテーブル。オーク材の天板は若葉家具が製造し、針葉樹の柱材を大工が加工して取り付けています。

「家具の手」のプロダクトにはテーブル以外にも壁面に取り付けるアイテムも多数計画されています。
住まい手だけでは設置が難しい壁かけ家具のアイテムも、家づくりをする大工や工務店が関わることで空間とあわせて計画・設置することができます。

会場には空間におくことで間仕切りも兼ねる家具「間合い」も展示されました

コロナ禍で家という場が暮らしのためだけでなく仕事をしたりお店を開いたりする場所になり、会社や公共の場にも居心地の良さやくつろぎが求められるようになった2020年。木という素材や職人の手仕事、さらに住宅・林業や製材・家具メーカーなど、産業の枠を超えてつくり手が協働をして「住む×働く」というテーマで家具や場づくりのかたちを実現したホームショーとなりました。

 

(文責:わざわ座事務局)

 

 

 

 

「住む×働く」展|JHS2020

会 期:2020年11月11日-13日

会 場:東京ビッグサイト

主 催
一般社団法人わざわ座
株式会社新建新聞社
若葉家具株式会社
Koizumi Studio+こいずみ道具店
伊礼智設計室
株式会社参創ハウテック・ekrea Parts
株式会社田中工務店
相羽建設株式会社